自立した学習者の育成のために,常に辞書を活用し,
自己表現を繰り返して生徒の英語力を伸ばすことを目指す事例
2008年8月取材
谷口友隆先生(相模原市立由野台中学校)の授業実践
- ・自立した学習者の育成に辞書は不可欠
英和辞典
- ・辞書指導の目的は大きく2つ
①見出し語を見つけられるようにすること
②例文を見ながら語のイメージをつかむこと - ・辞書で習熟度の高い生徒の学習を保障する
- ・早引き競争のあとはコツをシェア
- ・引いた語に線を引くように指導
和英辞典
- ・自己表現活動に和英辞典は不可欠
- ・まず自分でできる範囲で表現,その後和英辞典で確認
■自立した学習者の育成に辞書は不可欠
中学卒業後も自分で学習を追求していくような自立した学習者に育てたいと思っている。そのためには資料などを参照しながら学ぶ練習が必要であり,その視点から,辞書は不可欠。
■参照するものがあるからわかる
辞書を使い続けると,生徒からは「英語の勉強が楽しくなった。わかるから楽しい」という声が聞かれるようになる。わかるのは参照するものがあるから。辞書を使い続けることで,書くとき,読むときにコツがつかめるようになり,辞書を引くときも品詞で探すことができるようになる。
■辞典はその時々の生徒の習熟段階に応じて導入
その時々に受け持った生徒の状態に合わせて導入する(タイミングはほぼ一定)。
■辞書指導の目的は大きく2つ
辞書指導の目的は大きく2つある。①見出し語を見つけられるようにすること ②例文を見ながら語のイメージをつかむこと。
■辞書で習熟度の高い生徒の学習を保障する
辞書の使い方を指導することで,習熟度の高い生徒の学習を保障できる。余力のある生徒は,辞書を片手に教科書以上の学習を進められる。
■辞書指導の活動例①―早引き競争とコツのシェア
班の中で早引き競争し,その後,早く引けた生徒のコツをシェアする。
・早い生徒のコツの例
→小口の段階で当たりをつける(stationはSの前半か後半かなど)。それにより,開く場所を変える。これを実感させるにはSから始まる語を引かせるとよい。
→未知語を引くときに既知語から探す。たとえばstrictを引くのにstreetなど知っていて近い単語から見つけていくという生徒がいた。
■辞書指導の活動例②―並べ替え
英単語5語程度(bar, barber, baby, beach, buyなど)を選び,辞書の掲載順に並べ替えることを行う。まず,自分で並べ替え,その後辞書で確認し,ページ数を書かせる。
■辞書指導の活動例③―仲間はずれ探し
色の名前3つ,形の名前1つなどを提示し,辞書を引いて仲間はずれを探させる。
■家庭学習でわからない単語を引くために使わせる
英和辞典は家庭学習でわからない単語を引くために使わせることが主。『Talk & Talk』(正進社)を家庭学習と連携して指導することが多い。
■例文を読むように指導
生徒は最初の語義だけを見て,それをつなぎあわせて「わからない」と言うことがあるので(例:Nice(すてきな)to meet(会う) you(あなたに)),下のほうに例文としてのっていること(例:Nice to meet you.)を示して,読むことを教える。
■語のイメージを感覚的につかませたい
いろいろな意味を見ながら,語のイメージを自分で感覚的につかんでいくことが大事。ざっと読んでみることに意味がある。leaveの語感,teachとtell,listen toとhear,see, look, watchの違いなどをイメージとして持てるように指導している。
■引いた語に線を引くように指導
自分の辞書を持っている生徒には,引くたびに線を引くように指導している(自分自身が学生時代に行っていた方法)。何本も線の引いてある語は「自分にとっての重要語」だと教えている。
自学帳提出用の箱
■自己表現活動に和英辞典は不可欠
自己表現活動に和英辞典は不可欠なので,和英辞典のほうをよく使う。(和英7:英和3くらい)
■まず自分でできる範囲で表現,その後和英辞典で確認
まず,自分の知っている英語で表現するように指導し,その後,和英辞典を使わせる。和英を引くように指導するか引かないように指導するかは生徒の状況による。自己表現活動の際は,まずブレインストーミング(マッピングの作成)→英語にしやすい日本語にするという段階を踏む。その後,センスグループに分ける→どの部分・品詞がわからないか明確にし,そこで初めて和英辞典を使わせる。時間がないときはわからない部分をあえてローマ字で書かせ,あとから家で和英辞典を引くように指導する。(和英辞典を丸写ししたと推測されるような)変な間違いをしているときは,和英で引いて書いてきた英単語を英和で確認させることもしている。