北原延晃先生(愛知淑徳大学交流文化学部・元上智大学文学部英文学科非常勤講師,元東京都赤坂中学校教諭)の語彙指導に関する資料
2022年秋に作った中学校発信語彙リストを使った問題集ができました。問題集は2つあります。1つはPower Testという名前で語彙の理解を測ることができます。もう1つはSpeed Testという名前で語彙がすぐに使えるかどうかを測ることができます。やり方はそれぞれ「PT使い方」「ST使い方」のシートに書かれています。
北原延晃
- ・この資料は,教育目的の利用に限ります。
- ・この資料の著者(著作権者)は北原延晃先生であり,㈱ベネッセコーポレーションは資料の内容および
使用に関し一切の責任を負いません。 - ・この資料についてのご質問等は「お問い合わせ」からお願いします。
北原延晃先生(愛知淑徳大学交流文化学部・元上智大学文学部英文学科非常勤講師,元東京都赤坂中学校教諭)の語彙指導に関する論文
学習指導要領に「発信語彙と受容語彙に分けて指導する」とありますが,どこからも発信語彙リストが出ないので作りました。発信語彙リストは3種あるので実情に合わせてお使いください。最後にリストの使い方が書いてあります。生徒さんが楽になるようにしてあげてください。
北原延晃
- ・この論文は,教育目的の利用に限ります。
- ・この論文の著者(著作権者)は北原延晃先生であり,㈱ベネッセコーポレーションは論文の内容および
使用に関し一切の責任を負いません。 - ・この論文についてのご質問等は「お問い合わせ」からお願いします。
生徒の英語力を伸ばし,自立した学習者を育てる普遍的な指導法
「北原メソッド」の辞書指導の事例
2013年3月取材
北原延晃先生(港区立赤坂中学校)の授業実践
自己表現活動の大切さ
- ・1年1学期アルファベット小文字導入直後から始める
- ・最初は,毎時間辞書を使う時間を取る
- ・引いた語に印をつける
- ・生徒同士引き方を教えさせる
- ・家庭学習でも積極的に辞書を使うように指導
■1年1学期アルファベット小文字導入直後から始める
辞書指導は,1年1学期アルファベット小文字導入直後から始める。辞書を使うこと自体が,小文字の定着を促進するので小文字の定着を待つ必要はない。
■最初は,毎時間辞書を使う時間を取る
1年の最初,生徒たちは期待にあふれて辞書を持ってくるので,ここで辞書を使う機会を作る。せっかく辞書を持ってきても,授業中に辞書を使ったり使わなかったりすると,生徒は徐々に辞書を持ってこなくなる。1年1学期は,辞書を引く時間を毎時間作る。2学期以降は辞書で用法を確認したほうがいい語をピックアップし,それを引かせる。いったん生徒が辞書の有用性を認識すれば,生徒は自主的に辞書を使うようになり,「先生,この単語どういう意味?」という質問はなくなる。
引いた語(dine)にマーカーで印がつけてある。
■引いた語に印をつける
引いた単語には,赤丸や下線などの印をつけさせる。印をつけることで勉強した痕跡が一目でわかり,生徒の励みになるし,次に引くときの目印にもなる。引いた意味が第一語義ではない場合には訳語に印を,場合によっては,品詞や熟語に印をつけさせる。
■生徒同士引き方を教えさせる
教室で辞書を引かせる場合,単語を引けた生徒を立ち上がらせ,教師はNumber 1, Number 2と立ち上がった順番を言う。これは,早く引けた生徒の励みになる。また,早く引けた生徒にはまず用例を読ませ,その後,まだ引けていない生徒の手助けをさせる。その際,ページを教えないで引き方を指導するようにさせる。こうすることで,クラス全体の辞書引きの速度が速くなる。
■生徒が驚く発見をしたり,知識欲を刺激したりするような単語を引かせる
単語を引かせる場合は,生徒が驚くような発見をしたり,生徒の知識欲を刺激したりするような単語を引かせる。たとえば,生徒がstation=駅だと思っているところに辞書を引かせ,別語義でのpower station, police stationなどの例を見させてstationの原義を類推させる など。
■辞書はなるべく2冊用意
辞書はなるべく2冊用意させる。「辞書は2冊用意し,1冊は学校,もう1冊は家に置こう。1冊は小学校卒業記念でもらったものでOK。もう1冊は近所に卒業生の先輩がいたらその辞書をもらおう。高校では絶対使わないからね」とアドバイス。
英語の授業は「英語室」で行う。英語室にはAV機器やリズムボックス,タイマーなどいろいろなものを備えている。
辞書をはじめ,英語の資料が用意してある。
※より発展的な辞書指導や,さらに便利な辞書の使い方については,『英語授業の「幹」をつくる本 上巻』(北原延晃著 ベネッセコーポレーション刊)に詳解。
※東京都中学校英語教育研究会(都中英研)研究部は,平成22年度よりその研究テーマを「辞書指導」とし,ホームページ上で研究紀要を公開中。現場の教師でなければできない研究の成果を,ぜひご覧いただきたい。
教科書の新しいセクションに入る前に,ENGLISH EXPRESSというオリジナルの家庭学習用プリントを配布。本文に関して新出文法・文型と新出語を除いて問題が作られており,生徒は既習事項(語,文法)について確認(復習)する。新セクションの本文内容もある程度理解できるようになる。問われる箇所は既習事項なので,辞書や教科書を調べれば,ほぼすべてができるように作られている。語彙を広げ・深め,定着することに役立つ,生徒から長い間支持されている教材。また,上位の生徒のために発展的でチャレンジングな問題も含まれている。2年次から行う。
- 知らない単語が出てきてもすぐに辞書で調べるようになった。
- 知っている単語が増えた。
- 単語のつづりがほとんど書けるようになった。
- 少し難しい単語の意味が分かるようになった。
- 辞書を引くときに一発で引く練習をしていたら,そのページの周辺を引けるようになった。
- 新しい単語を読めるようになった。
- 難しい単語を調べられるようになった。
- 前置詞の使い方とそれぞれの意味を深く知った。
(平成23年度2年生 「3学期の英語学習を振り返って~できるようになったこと」から)
中学生になって初めて英語を本格的に学習する中学1年生にとって未知の世界である英語への案内役は先生であると同時に英和辞書です(小学校英語が始まっても辞書を手にするのは中学になってからでしょう)。先生の手が届かない部分はもう一人の案内役である英和辞書に動機付けを委ねたらどうでしょう。そのためにも中学時代に辞書指導が必要だと思います。
辞書指導と書きましたがそんなに大それた事をする必要はありません。生徒が「そうか,こう使えばいいのか」と合点するような場面を授業のところどころに設定するだけのことです。辞書の有用性に目覚めた生徒たちは自分でどんどん辞書を引き始めます。