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高学年からのお取り組み事例

5年生から辞書引きをスタート。
高学年らしく、「知りたくて引く」辞書引きが定着したお取り組みの事例。

2013年10月取材

千葉県柏市立酒井根西小学校

●学校概要
千葉県柏市(人口40.7万人)の小学校。 全校児童は309名。
学級数は1・2・4・5・6年が2学級、3年のみ1学級。
今年度より、学校全体で国語の研究に力を入れている。
●お取り組み学年
5年生 ※現在、2~4年生にも広がっている。
●お取り組みの開始時期
2013年度~
●お話を伺った先生
5年生担任の先生

お取り組みの概要

5年生から辞書引きへの取り組みを始め、ふせんの数を競うにとどまらない、辞書引きの習慣化・定着を果たされている事例。国語だけでなく、社会をはじめとした他教科でも積極的に国語辞典を使用されている。
学校内の他学年にもお取り組みが広がりつつある。

お取り組みのきっかけや問題意識

前任校である柏市立豊小学校で辞書引きに出会い、1年生担任として取り組んだ経験があった。今年度、酒井根西小学校では5年生の担任となったが、新学期に、子供たちの語彙が少ないことを痛感した。そのため、辞書引きが語彙を増やすひとつのきっかけになればと思って取り組み始めた。
最近の子供たちは、コミュニケ―ションの量が圧倒的に足りないと感じている。たとえば、不快な気持ちになった時は、いつでも「うざい」という言葉で済ませ、何が嫌だったのか、気持ちの説明をすることができないといった様子が見られる。

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辞書活用のお取り組みの具体例

■5年生にとって、ふせんは補助的な役割に

取り組みのスタートにあたって、子供たちにふせんで膨らんだ辞典の写真を見せると非常に興味を持ち、自分たちもやってみたいと言った。1学期はふせんの数を競い合ったり、ちょっとグロテスクな言葉やいかがわしい言葉を引いたりして楽しんでいたが、2学期になると熱はおさまり、辞書を引くことが習慣になってきたようだ。
成果が目に見えるため、ふせんを貼ることは嬉しいようだが、引くことに必要性を感じて辞書を使っているのであくまでふせんは補助的な役割。
前任校で行った1年生の辞書引きと比べると、1年生はふせんが増えることを喜ぶ「遊びの感覚」で、5年生は、枚数を競うのではなく、必要に迫られて知りたくて引き、そのついでにふせんを貼るという違いがある。

■導入にあたってはMY辞典を用意

子供たちは3年生で習っているので、辞書の引き方は知っていた。ただ、自分の辞書を持っている子もいれば持っていない子もいたため、導入にあたっては保護者に子供専用の辞書を持たせてもらえるようお願いした。辞書購入は強制ではないこと、学校での貸し出しも可能であることを明記したお知らせを配布したところ、クレームも無く全員MY辞典を用意していただけた。
中学生向けや大人向けの国語辞典を使っている子も多いが、総ルビでないことで特に不都合が生じている様子はない。

■国語以外の教科でも積極的に辞書を使用

辞書は算数の授業以外は常に机の上に置いている。国語以外の教科では、特に社会の授業でよく辞書を引いている。もちろん社会の資料集には教科用語の説明もあるが、「輸入って何?」など、資料集ではわざわざ説明していない語を辞書で調べることが多い。
道徳の授業でも「共感って?」「正義って?」というふうに、どんどん辞書を引いていた。算数ではあまり使わないが、理科でもよく使う。あらためて、辞書はいろんなところで使えると実感している。

■一人ひとりの取り組みとして定着

辞書によって記述が異なっているので、授業の中でそれぞれの持っている辞書の記述を発表し合うといったことも行う。
ただ、授業の中ではあまり時間をかけていられないので、基本的には一人調べの時間に辞書を使っている。夏休みにふせんの付いた辞書を持ち帰っているので、保護者にも辞書引きの取り組みについては理解していただいている。


高学年らしいことばをたくさん引いている様子がわかる

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辞書活用お取り組み後の成果

すぐに効果が表れるものではないが、子供たちの中に言葉が蓄積していると信じたい。
先日、授業の中で「○○って勇敢なんだ」と感想を述べた子に対して、周りの子が「勇敢って何?」と質問したら、「勇敢ってね…」と説明するというシーンがあった。その子は以前に「勇敢」という言葉を辞書で引いており、それが今回の発言につながったと思う。

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課題や今後の展望


読書にも積極的に取り組んでいる

国語教育全国大会で、「マイ辞書を作る」という4年生の事例(たとえば、「鉛筆」を自分の言葉で説明するなど)発表を聞き非常に興味深かった。今後、こういった取り組みも行ってみたいと考えている。
辞書引きと合わせ、読書・音読にも力を入れて、国語の力をしっかりつけていきたい。

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